【シンザン記念】牡馬相手に強さを見せた“女傑”ジェンティルドンナ 後の三冠牝馬を生んだ2012年をプレイバック

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前年は後の三冠馬オルフェーヴルが出走
1月12日にシンザン記念が開催される。過去にはシーキングザパールやタニノギムレット、アーモンドアイらが制したレース。今回はそんな中から2012年の一戦をピックアップして当時のレースを振り返っていく。
2012年のシンザン記念は、注目度が高まりつつある中でのレースだった。前年のシンザン記念勝ち馬レッドデイヴィスはその後に毎日杯、鳴尾記念を制覇。そして2着馬オルフェーヴルが三冠を達成し、3着のマルセリーナも桜花賞を制していたからだ。
2012年は1〜3番人気が単勝一桁台の「3強」の見方が強いメンバー構成。1番人気トウケイヘイローは朝日杯FS4着からの参戦だった。
2番人気は牝馬のジェンティルドンナ。こちらは前走で未勝利戦を制しての参戦。母ドナブリーニは海外GⅠ馬であり、父はディープインパクト。姉のドナウブルーは前年のシンザン記念で5着。ジェンティルドンナは未勝利戦の勝ちっぷりもあり人気を集めていた。
3番人気のオリービンはここまで5戦して2勝2着2回3着1回で安定感は抜群。他にも素質馬たちが集まり、前年に負けないメンバーが揃う一戦となっていた。
ジェンティルドンナが牡馬を相手に完勝
ゲートが開き、好スタートを決めたのはシゲルアセロラとトウケイヘイロー。注目の先手争いはシゲルアセロラが制した。
ジェンティルドンナはスタートがそれなりだったものの、そこからジワジワとポジションを上げていく。前に行く馬が複数いるなかで、ジェンティルドンナは内側のマイネルアトラクトと並走しながら、行きたがる仕草を見せる。向正面中間でもなお荒ぶるパートナーを、鞍上のルメール騎手が必死なだめる。
そうしているうちに先頭のシゲルアセロラが2番手に差をつけ始める。鞍上の勝浦正樹騎手の手綱に迷いはない。一方、人気の一角オリービンは後方で待機。小牧太騎手は折り合いをつけ、レース終盤で勝負に出る作戦に見えた。
残り800mを過ぎると、先頭シゲルアセロラと2番手プレミアムブルーとの差は5馬身以上に開いていた。そこから坂を一気に駆け降りる。ジェンティルドンナは下り坂では完全に折り合っていた。そのままコーナーを曲がり最後の直線へ。
直線に入ると前を走るプレミアムブルーを避けるようにトウケイヘイローが外に持ち出される。一方のジェンティルドンナは内に進路を取る。
前ではシゲルアセロラが粘り込みをはかる。後方勢は横に広がるも届きそうな勢いはない。3番手でレースを進めてきたマイネルアトラクトの脚色がよく、内から鋭く伸びる。しかしあっという間に、ジェンティルドンナが抜け出し先頭を奪った。
好位にいた各馬がそれぞれ鋭く伸びる。しかし、ジェンティルドンナの脚色は衰えることなく、軽々と先頭を奪った牝馬はそのまま颯爽とゴールイン。着差以上の完勝にスタンドはどよめいた。
1番人気トウケイヘイローも外から脚を伸ばしたが4着まで。2着は内から伸びた9番人気マイネルアトラクト、3着は前で粘った11番人気プレミアムブルーが入った。
2番人気のジェンティルドンナが勝利するも、2、3着に人気薄が来たことで3連単は2819.7倍と跳ね上がった。さらにはジェンティルドンナからのワイドも20.8倍、26.6倍との高配当となった。
ディアダイヤモンドは偉大な三冠牝馬たちに続けるか
牡馬を相手に快勝したジェンティルドンナは次走のチューリップ賞で4着に敗れるも、そこから快進撃を見せる。
続く桜花賞を制すると、そこからオークス、ローズS、秋華賞、ジャパンCと5連勝を達成。牝馬三冠だけでなく、ジャパンCでは一つ上の三冠馬オルフェーヴルを撃破し、年度代表馬に輝いた。
翌年以降も一線級で活躍。翌年のジャパンCで連覇を飾ると、5歳シーズンはドバイSCと有馬記念を制して2度目の年度代表馬に選出された。
引退後は母として活躍。娘のジェラルディーナが2022年のエリザベス女王杯を制し、最優秀4歳以上牝馬に選出される活躍を見せた。
2025年にジェンティルドンナは繁殖生活を引退。しかし残念ながら、同年11月にこの世を去ってしまった。ただジェラルディーナを始め、ジェンティルドンナはロードカナロアやドレフォンらとの間に牝馬を授かり、世に送り出している。このままいけば順調に牝系を拡大していくだろう。
今年もシンザン記念に期待の牝馬が参戦する。ディアダイヤモンドは、父サートゥルナーリアで母が海外重賞勝ち馬という良血馬だ。
ディアダイヤモンドのデビュー戦は3着。今回は未勝利戦を制しての参戦で、ジェンティルドンナやアーモンドアイといったシンザン記念から三冠牝馬となった2頭を連想するファンもいるかもしれない。
良血馬バルセシート、素質馬モノポリオなど強力な牡馬もいるメンバー構成だが、果たしてディアダイヤモンドは偉大な牝馬三冠馬たちに続けるか。年明け早々の出世レースから目が離せない。
《ライタープロフィール》
緒方きしん
札幌生まれ、札幌育ちの競馬ライター。家族の影響で、物心つく前から毎週末の競馬を楽しみに過ごす日々を送る。2016年に新しい競馬のWEBメディア「ウマフリ」を設立し、馬券だけではない競馬の楽しみ方をサイトで提案している。好きな馬はレオダーバン、スペシャルウィーク、ピクシーナイト、ドウデュース。
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