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【チャーチルダウンズC回顧】アスクイキゴミが2連勝で重賞V 本番に向けた課題は?

2026/04/06 11:20
勝木淳
2026年チャーチルダウンズC、レース結果,ⒸSPAIA

ⒸSPAIA

ユウファラオが演出したスローペース

NHKマイルカップの前哨戦・チャーチルダウンズカップはアスクイキゴミが制し、無敗で重賞ウイナーにのぼりつめた。以下、2着ユウファラオ、3着バルセシートが優先出走権を手にした。

この日は東西ともマイル重賞が行われ、東のダービー卿チャレンジトロフィーはハイペースの追い込み決着になり、西のチャーチルダウンズCはスローの前残りだった。今週の東西重賞はすべて芝のマイル戦で行われるが、流れひとつで様変わりする難しさがカギを握りそうだ。

さて、チャーチルダウンズCといえば貴重な関西圏のNHKマイルCトライアルであり、外回り芝1600mというコース形態から流れが落ち着く傾向にある。直線が短く、流れが速くなりやすい中山のダービー卿CTとの違いはある程度は頭に入っているにせよ、ユウファラオの逃げは読み切れなかった。

2歳時から芝、ダート、スプリント、マイルと条件を変えながらガンガン走らせる森秀行厩舎にセオリーは通用しない。積極策に定評がある松若風馬騎手を乗せた時点で、先手をとる可能性ぐらいは予見したかった。痛恨だった。

ユウファラオが刻んだラップは12.5-11.2-11.9-12.5-12.1。3コーナー手前からきっちり息が入った。ただし、スローになった要因はこれだけではない。1番人気サンダーストラック、2番人気アンドゥーリルが初手で好位を固め、ライバルたちの視線はこの2頭に集まった。

前を進むユウファラオは最低人気であり、おそらくマークは薄かった。そのなかでサンダーストラックもアンドゥーリルも早々に手応えをなくした。この時点で、各騎手が描いた構図は完全に崩れた。

ここから切り替える間に、ユウファラオは差し馬の射程圏外に逃げ延びていた。後半600mは11.3-11.0-11.6。早めに勝負に出た松若風馬騎手の判断が間隙を突いた。競馬にはこういったことはよくある。


藤原英昭厩舎の勝負パターン

勝ったアスクイキゴミはユウファラオの背後、有力馬の前にいた。2月の東京で新馬勝ちを収めた直後であり、いわば挑戦者の立場。坂井瑠星騎手もそれを心得ており、後ろの有力馬を意識しすぎず、愚直に前を追いかけた結果、勝利をたぐり寄せた。

ただ前だけを見て攻める。坂井瑠星騎手がもっとも得意とするスタイルでもあり、こちらも藤原英昭厩舎の騎手起用が当たった。坂井瑠星騎手×藤原英昭厩舎×廣崎利洋HD(個人名義含む)は2021年以降【3-0-0-3】。勝負パターンのひとつとして覚えておきたい。

チャーチルダウンズC(旧アーリントンC)が4月になってから、前走新馬勝ち馬の優勝は初めて。過去に4頭が出走し、それぞれ15番人気17着、3番人気7着、8番人気16着、6番人気4着と結果が出ていなかった。

アスクイキゴミは新境地を開いた無敗馬ではあるものの、展開面のアシストは考慮したいところ。2戦ともにスローであり、本番はペースの違いへの対応を迫られる。馬づくりの匠・藤原英昭厩舎がどう調教してくるのか注目したい。

アスクイキゴミの上2頭は父がキングマン、フランケルのスピードタイプではあったものの、父がロードカナロアになったことでレースセンスに磨きがかかり、日本の馬場への対応力が強化された印象がある。スピードとセンスを伸ばして、マイルの頂点を目指してほしい。


次につながったバルセシート

2着ユウファラオはアメリカンファラオの産駒。代表産駒のカフェファラオは来年産駒がデビューを迎える。また、アメリカンファラオ自身は今シーズン静内で種牡馬生活を送っており、カフェファラオ産駒の2年後に内国産産駒がデビューする。

ユウファラオを含め、現在国内で走っている外国産馬たちはダートのイメージが強いが、芝も先週まで【15-9-10-100】勝率11.2%、複勝率25.4%と悪くない。ジューンブレアは昨秋のスプリンターズSで2着と好走。ユウファラオとの共通点はスローの逃げで粘り込む点にある。

アメリカンファラオはハイペースを押し切るこれぞアメリカのダートホースという馬だったが、共通点はマイペース。カフェファラオが外から被されるとモロさを出す面を見せていたが、ユウファラオにも似た雰囲気を感じる。次の買い時は再びマークが薄くなったときではないか。つまり、人気薄で狙いたい。

3着バルセシートは展開不向きのなか、唯一差し馬勢で伸びてきた。母マラコスタムブラダといえば、父ダイワメジャーの姉レシステンシアがいる。ハイペースを押し切る戦法を得意としており、父に似た競走馬だった。

一方で、父がハーツクライに替わったグラティアスも京成杯勝ちなど先行したときに結果を残しており、母系の成功パターンのようだ。であれば、バルセシートも初ブリンカーだった前走の先行策が理想かもしれない。今回はスタートで狭くなる場面があり、序盤でポジションをとりにいくことができなかった。

レシステンシアはNHKマイルC2着。その前走は桜花賞2着であり、バルセシートとは完成度の差はある。だが、この血統が得意とする先行策に出られれば、楽しみはありそう。スローのなか唯一差して上位に顔を出した事実は、秘める力の一端といえる。

2026年チャーチルダウンズC、レース回顧,ⒸSPAIA


《ライタープロフィール》
勝木 淳
競馬を主戦場とする文筆家。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュースオーサーを務める。『サラブレッド大辞典』(カンゼン)に寄稿。

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