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【日経賞回顧】レイデオロ産駒マイユニバースが重賞初制覇 持ち味を引き出した横山典弘騎手の“自然流”騎乗

2026/03/30 11:00
勝木淳
2026年日経賞、レース結果,ⒸSPAIA

ⒸSPAIA

息を入れにくい長距離戦

天皇賞(春)の前哨戦である日経賞はマイユニバースが制し、重賞初制覇。2着ミクニインスパイア、3着ローシャムパークで決着した。

近走で芝2500m以上の重賞を好走していたのはコスモキュランダ、ミステリーウェイ、ブレイヴロッカーの3頭。GⅠ馬の始動戦という立ち位置を考えると、やや寂しいメンバー構成になった。

その分、馬券的にはやりがいがある一戦。みんなひとひねりしたくなったはずだ。終わってみれば4番人気、2番人気、3番人気での決着。流れと騎手の戦略が光った一戦だった。

アルゼンチン共和国杯を逃げ切り、有馬記念でも先手争いを演じたミステリーウェイが逃げず、距離延長でブリンカーを装着するという勝負に出たクリスマスパレードが飛ばす展開になった。

1000m通過は推定58.9。2000m戦のようなペースで突っ込んでいった。中盤は13.0-12.8と1、2コーナーから向正面にかけラップは落ちていったが、そこからリビアングラス、チャックネイト、シャイニングソードら伏兵陣が後ろから前を目指し、仕掛けていく。残り1000mは11.8-12.0-12.2-12.1-11.7と有馬記念に似たロングスパート戦に変貌していった。


自然流の凄み

この流れを後方で構え、最後に仕掛けていったのが勝ったマイユニバースだった。先日、同馬でJRA通算3000勝を達成した横山典弘騎手の胆力というか、騎乗ポリシーが勝利をアシストしたように映った。

騎乗馬のリズムをなによりも大切にする。戦略家のイメージも、自身はどんな時も騎乗馬に合わせた騎乗に徹していると解く。前半が速ければ無理せず、ライバルたちが先んじて動いても動かない。自然流の騎乗スタイルに痺れた。

同時にこのレースは結果として後から仕掛けるのが勝ち筋であり、それを的確に突いてきた。納得の勝利だ。この“自然流”は先週の阪神大賞典の武豊騎手(アドマイヤテラ)と重なる。勝負を急ぐ後輩たちを、どんな心持ちでみていたのだろうか。

ちなみに、同一年に武豊騎手が阪神大賞典を勝ち、横山典弘騎手が日経賞勝ったという例は過去に3回ある。

<1992年>
阪神大賞典:メジロマックイーン
日経賞:メジロライアン

<1999年>
阪神大賞典:スペシャルウィーク
日経賞:セイウンスカイ

<2006年>
阪神大賞典:ディープインパクト
日経賞:リンカーン

この3回のうち、天皇賞(春)で2頭が対決したのは99年、06年の2回。99年はスペシャルウィーク1着、セイウンスカイ3着。06年はディープインパクト1着、リンカーン2着。いずれも阪神大賞典の勝ち馬が先着した。はたして3度目は実現するのか。そしてマイユニバースと横山典弘騎手の先着はあるだろうか。

マイユニバースの父レイデオロは3月22日終了時点で2500m以上【11-11-4-32】勝率19.0%をマーク。GⅡはアドマイヤテラが阪神大賞典と目黒記念の2勝、さらにサンライズアースの阪神大賞典と3戦3勝で、ここに今回のマイユニバースが加わって4戦4勝となった。

GⅠはアドマイヤテラ、エキサイトバイオの菊花賞3着が最高。明らかにステイヤー種牡馬であり、若駒時代の勝ち味に遅さも納得できる。待望のGⅠ制覇はアドマイヤテラとマイユニバースのどちらだろうか。天皇賞(春)はレイデオロ産駒の真価が問われる。種牡馬戦国時代においてステイヤー適性を強調するにもタイトルはほしい。


距離延長で楽しめる2、3着

2着はミクニインスパイア。レイデオロ産駒が差し切るようなスタミナ志向の競馬だったことを踏まえると、この2着は価値がある。インを立ち回った丹内祐次騎手の好騎乗も光ったが、好位に構えて伸びてきた事実が大きい。

父はアドマイヤマーズで、兄は岡田繁幸氏が夢を託した一頭プレイアンドリアル。ニュージーランドトロフィーを勝ったエエヤンもいて、必ずしも長距離のイメージではない。

アドマイヤマーズ産駒は総じて距離適性が父より長く、中距離対応の産駒を出しているとはいえ、スタミナ志向の2500mで結果を残したのは正直、驚いた。母の父ティンバーカントリーはミスタープロスペクターの系統。アドマイヤマーズはこの系統と相性がよく、産駒が多いキングマンボ系を除くと【8-5-3-35】勝率15.7%、複勝率31.4%となる。マイル、ダート、長距離と結果を残す適性幅が広い。

3着ローシャムパークはこれまで2500m戦で7着、12着に敗れていたが、着差はそれぞれ0.7秒、0.4秒。距離が壁になり、大敗を喫したわけではない。

今回はマイユニバースより先に動いた分、最後は甘くなったものの、このぐらいの距離がよさそうだ。2400~2500mに絞って使っていきたいところだが、古馬の春は国内に大きなタイトルがない。距離短縮の方向へ動くより、延長に目を向けてもよさそうだ。


2026年日経賞、レース回顧,ⒸSPAIA


《ライタープロフィール》
勝木 淳
競馬を主戦場とする文筆家。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュースオーサーを務める。『サラブレッド大辞典』(カンゼン)に寄稿。

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