【有馬記念】宝塚記念の指数は今年国内トップ、メイショウタバルが本命 穴馬はエキサイトバイオ

ⒸSPAIA
ジャパンCと逆の流れを想定
有馬記念は過去20年までさかのぼっても馬番14より外が【0-4-4-46】と外枠は不利。とはいえ展開の幅は広く、どの脚質でもまんべんなく活躍している。
過去10年、逃げ馬の成績は1勝・3着3回。ただし、該当馬はキタサンブラック(2015年・2017年)とタイトルホルダー(2023年)、ダノンデサイル(2024年)でいずれもGⅠ馬。唯一の勝利は2017年のキタサンブラックが記録したものだ。
反対に追込馬も1勝、2着3回に3着2回と活躍しているが、ドウデュースが優勝した23年を除いては馬場の内側が荒れており、外有利の馬場だったのは押さえておきたい。ここ2年は内外フラットな馬場で行われたため、それが逃げ馬の粘り込みに繋がった面もある。
内外フラットの状況下では、19年のアエロリットや21年パンサラッサのような逃げ馬がよほど前半から飛ばす展開となるか、それこそドウデュースくらいの脚力がないと3~4角の外から追い込むのは難しい。
今回はミステリーウェイとメイショウタバルの2頭が逃げ候補。何が何でも逃げたいのはミステリーウェイの方で、メイショウタバルは先手を取っても競られることになるので、おそらく2番手に控えるだろう。
先行馬もそれなりに多く、ペースを落とし過ぎればレガレイラを末脚型とは認識していないC.ルメール騎手が秋華賞(エンブロイダリー)のように早めから仕掛ける可能性もある。
ハイペースになる要素もあるが、今秋のジャパンカップが天皇賞(秋)とは真逆の流れになったように、下手な展開予想よりも“ひとつ前の主要レースと逆の流れになる”と決め打つほうが上手くいくことが多い。ここは平均よりも遅い流れになると見て予想する。
能力値1~5位の紹介

【能力値1位 メイショウタバル】
2走前の宝塚記念で初GⅠ制覇を達成。ここでは12番枠からまずまずのスタートを決めた後、内の馬と軽く接触したが、コントロールしながらハナを主張。道中では1F12秒前後を維持して淡々と逃げ、縦長の隊列を作って3角に入る。
3~4角でベラジオオペラら2列目勢が外から仕掛けて上がってくると、4角出口で本馬も仕掛けて最内に切り、1馬身半ほど前に出る。序盤で抜け出して2馬身差。ラスト1Fでは追撃するベラジオオペラのほうが甘くなり、3馬身差で完勝した。
当時は標準馬場で、6F通過が1分11秒3という短距離戦並みの緩みない流れ。本馬はこのように淡々と逃げて最後まで粘り通すレースが得意だ。
前走の天皇賞(秋)はコンクリートレベルの高速馬場で、前後半5F62秒0-56秒6の超絶スローペース。レース後に公開されたジョッキーカメラの映像で、マスカレードボールのC.ルメール騎手が思わず「遅いわ」とこぼしたシーンが話題となったように、日本のGⅠではこれまでに見たことがないほどペースが遅かった。
ここまでペースを落としたのは、宝塚記念激走後の始動戦になるので無理をさせたくなかったのだろう。結果的に外差し勢の決め手に屈する形になったが、ラスト2Fではいったんかわされたタスティエーラをラスト1Fで差し返しているように、決してバテたわけではない。
手綱を引いてスローに落とし込んだことで前走の疲れはなく、折り合いもつきやすくなるはず。もっと時計の掛かる状態の芝がベストだが、スタミナを活かしたい本馬にとって距離延長は好材料。今回の本命候補だ。
【能力値2位 レガレイラ】
昨年の優勝馬。同レースでは8番枠からやや出遅れたが、じわっと挽回して中団中目を追走。かなりペースが遅かったので、好位の中目まで進出して向正面へ。下り坂でダノンデサイルがペースを引き上げると、それに付き合う形で3角に入った。
3角で内にいたスターズオンアースが失速し、4角で2列目の内を確保。4角出口でベラジオオペラの後ろから外に誘導して3列目で直線へ。外のシャフリヤールと一緒にじわじわ伸び、ラスト1Fでは同馬と併せ馬の形でダノンデサイルを捉え、最後はクビの上げ下げをハナ差で制した。
当時は高速馬場で、前後半5F62秒9-57秒9のスローペース。しかし、ダノンデサイルがラスト5Fで一気に仕掛けたことで、3~4角で最内を通した馬が有利であると同時に、前に行った馬には苦しい展開となった。
その点、外々から位置を押し上げて本馬と一騎打ちを演じたシャフリヤールのほうがインパクトで上回っていたが、ハナ差で勝利したのはさすがだ。
その後に骨折し、復帰戦となった宝塚記念ではペースが速く、馬場も軽くはない状況下で大外17番枠から出遅れという散々な内容。中団まで位置を挽回するのに脚を使って11着と大敗したが、その後のオールカマーとエリザベス女王杯では昨年の有馬記念と同等の指数を記録して連勝している。
前走のエリザベス女王杯では7番枠から五分のスタートを切り、コントロールして中団の外目を追走。道中では包まれるリスクを避けて、そのまま中団の外目で進める。
3~4角でも中団の中目で我慢させ、4角で仕掛けながら外目に誘導。4角出口では大外に持ち出し、直線序盤では伸び始めて2列目へ。ラスト1Fで先に抜け出したパラディレーヌを楽々捉え切り、1馬身3/4差で完勝した。
当時は標準馬場で、前後半5F59秒9-59秒0の平均ペース。馬場の内側が荒れて外有利の馬場。道中で外を通した馬が1着、3着、4着、5着という結果になったように、外を通した馬が圧倒的に有利だったが、休養明けのオールカマーで好走した後の一戦ながら、疲れを残さずにしっかり結果を出した。
昨年の有馬記念もエリザベス女王杯からの臨戦。昨年のエリザベス女王杯では大きな不利があり、能力を出し切れていなかったことから、有馬記念では本命に推した。
しかし、今年は前走のエリザベス女王杯で能力を出し切っているだけに、昨年よりはパフォーマンスを下げる可能性が高い。
【能力値3位 ダノンデサイル】
昨年の有馬記念では逃げて3着だったが、今年から戸崎圭太騎手に乗り替わり、末脚を活かす形で上昇。今春のドバイシーマクラシックでは、後にジャパンCを勝利してGⅠ・4連勝を達成するカランダガンを2着に下して勝利した。
そのドバイSCは3番枠から五分のスタートを切るも外にヨレ、そこから立て直して4番手で進める。道中は超スローで掛かり気味。向正面でレベルスロマンスが捲ってもさほどペースが上がらなかったが、ここでも動かずに中団最内で脚を溜める。
3角でも中団最内で進め、4角でじわっと仕掛けつつ上手くシンエンペラーの後ろから外に誘導。序盤で3列目からすっと伸び、ラスト2Fでは先頭列。ラスト1Fで抜け出したところをカランダガンが詰めてきたが、1馬身1/4差で勝利した。
このときは5F通過がおおよそ65秒という超絶スローペース。カランダガンに徹底マークされていたが、ラスト3Fで仕掛けて外に出してからの反応が鋭く、ラスト1Fでは最速で64.9m/hと一瞬のキレがすさまじかった。
前走のジャパンCでは3着。このときは海外帰りの一戦で馬体重も508㎏と減っており、苦戦するのではないかと見ていた。
レースはセイウンハーデスが飛ばして逃げる展開で世界レコードを記録という緩みない流れ。後方有利の展開に恵まれたこともあり、3着と善戦することができた。
その前走が消耗度の高いレースになったことで、この中間も調教をセーブして体重増加に専念していることから、万全な状態ではないことが予想される。しかし、本馬の能力の高さを考えると軽視はできない。
【能力値4位 シンエンペラー】
昨年のジャパンC2着馬。逃げ馬不在のなか、7番枠からまずまずのスタートを切ると押してじわっとハナを主張。ハナに立つとかなりのスローに落とし込んだ。向正面で外からドゥレッツァが捲ってくると、これを行かせて2列目の最内に収める。
3~4角でもペースが上がらず、包まれながら直線序盤はドゥレッツァの後ろで仕掛けを待ち、ラスト2F手前で追われて4番手。ラスト2Fで最内から伸び始めて3番手に上がったが、ここでドウデュースにかわされる。ラスト1Fでは同馬との差を詰めたが、クビ差の2着(同着)までだった。
当時は高速馬場で、前後半5F62秒2-58秒5の超絶スローペース。前有利の展開だったが、ラスト2Fで1馬身ほど前に出られたドウデュースとの差はラスト1Fでクビ差まで詰めている。本馬もある程度前の位置で進め、しぶとさを生かしてこその馬だ。
4走前のネオムターフカップ勝利後、2度の肺出血もありスランプに陥ったが、立て直された前走・ジャパンCでは復調気配を見せる8着だった。
前走は昨年のジャパンCとは真逆の超絶ハイペースとなったなか、16番枠で終始好位の外々を追走するロスを作り、ラスト2Fでは外のマスカレードボール、カランダガンに伸び負けして接触。位置を下げる不利も受けている。
ラスト2F目の不利がなければもう少し上の着順が狙えたはずで、そもそも超絶ハイペースを好位の外々追走では苦しかった。今回は前走から一転して2番枠と枠も良く、前走で能力を出し切れなかったことから前進も見込める。ここは警戒が必要だ。
【能力値5位タイ アドマイヤテラ】
昨秋の菊花賞では出遅れて最後方からじわじわ挽回。3~4角で先頭に立って3着と健闘したように、スタミナ豊富な馬だ。その後2連勝で目黒記念を制し、初重賞制覇を達成した。
その3走前は逃げ馬不在のレースで、10番枠から五分のスタートを切って楽に先行。コントロールしながら好位の外を追走した。
道中は超スローで団子状態。向正面でシルブロンが捲ったことでやや位置が下がったが、軽く促して中目のスペースを進め、好位を維持する。
3~4角でも1つ外から好位を維持して直線へ。序盤で2列目の中目でしぶとく食らいつき、ラスト2Fでは外に誘導して3番手、ラスト1Fではホーエリートを捉えてクビ差で勝利した。
当時は超高速馬場で、前後半5F64秒1-58秒3のかなりのスローペース。ただシルブロンが捲ったことで、3~4角から一気にペースが上がっている。こうなると3~4角でロスなく立ち回ることが重要で、ロスを最小限にとどめて長く良い脚を持続させての勝利だった。
この目黒記念はステイヤー色が強く、実際にクビ差2着のホーエリートが後にステイヤーズSを優勝した。レースの質こそ違うが、ここでアドマイヤテラが記録した指数は今年の天皇賞(秋)と同等のものがある。有馬記念はステイヤー色の強いレースで、その点でも天皇賞(秋)の上位馬よりも優勢だ。
そのうえ、前走のジャパンCはスタート直後に落馬。緩みない流れのレコード決着で、走り切った馬には疲労が残りやすいが、先頭でゴールしたもののカラ馬ならその心配はあるまい。重い印を打ちたい。
【能力値5位タイ ジャスティンパレス】
2023年の天皇賞(春)勝ち馬。ここでは1番枠から五分のスタートを切り、積極的に押していったが、ひとつ外のディープモンスターに前に入られ、好位は諦めて中団やや前目の最内を追走した。
スタンド前ではディアスティマの後ろでスペースを作って進め、向正面でかなりペースが落ちると外に誘導、ディープボンドをマークする形に切り替える。
3角手前で一気にペースダウンすると、ディープボンドを追いかけて楽な手応えで進出。4角で同馬の外に誘導すると直線序盤で先頭に立ち、ラスト1Fで差を広げて2馬身半差で完勝した。
当時は標準馬場で、前半5F59秒7-中盤6F75秒6-後半5F60秒8のハイペース。それでもラスト3Fは速く、京都の長丁場らしく3角手前で中団にはいないと苦しい決着だった。ここでは鞍上ルメール騎手が3角手前で上手く押し上げたことが功を奏し、自己最高指数を記録している。
その後は中距離路線にも矛先を向け、同年の宝塚記念で3着、天皇賞(秋)でも2着と善戦。休養明けでタフな馬場だった昨年の宝塚記念こそ10着と崩れているが、それ以降はすべてGⅠを走って着差0秒6差以内という奮闘を見せている。
しかし、本馬はテンの脚が速くなく、エンジンの掛かりが遅い馬。今年の天皇賞(春)では離された6着に敗れているが、後方2列目の外からショウナンラプンタが捲り、向正面でペースが上がってからの仕掛けに。結果、3角で4頭分外を回り、4角でそれ以上に大外を回る致命的なロスを作ってしまった。上手く乗っていれば勝ち負けはあったとみる。
前走のジャパンCは5着。展開には恵まれたとはいえ、4角では後方2番手の外から追われても伸びは地味で、ラスト2Fで後ろのブレイディヴェーグに並ばれながら、ラスト1Fでは一気に伸びて前との差を詰めている。
前走のようにラスト1Fで前が加速しても確実に前との差を詰めてくる辺りに脅威を感じ、中距離でも道中で上手く位置を押し上げることができれば1着まであるのではないか。
しかし、これまでそういうレースをした時は、昨年の宝塚記念のように馬場がタフであったり、今年の天皇賞(春)のように捲るタイミングが噛み合わなかったりと崩れているだけに、誰が乗ってもそういうレースは難しい。
また、上述したように今年のジャパンCは消耗度の高いレースになっている。ここでの馬券圏内まで突入まではどうか。
穴馬候補は3歳馬エキサイトバイオ
エキサイトバイオの前走は菊花賞3着。14番枠からまずまずのスタートを切り、コントロールしていたが、かなり掛かって好位の外から2番手に進出。スタンド前でようやく折り合いがついて徐々に好位の外目に下げたが、向正面で大きくペースダウンすると、先頭のジーティーアダマンに並びかけて行く。
3~4角で楽々と先頭に立ったところを外からレクスノヴァスに並ばれ、4角で振り切って3/4差のリードで直線へ。序盤で一気にエネルジコにかわされ、ラスト1Fではエリキングにも差されたが、最後は踏ん張ってゲルチュタールをハナ差で振り切った。
当時はタフな馬場で、前半5F60秒8-中盤5F63秒8-後半5F59秒4のスローペース。やや前有利の展開だったが、ラジオNIKKEI賞から6Fの距離延長で、かなり掛かりながらの追走になりながらも早めに先頭に立って踏ん張ったことは高評価できる。
前走は13番人気で3着だったが、芝2000m以上を経験していなかったことが人気の盲点となっただけで、内容は決してフロックではない。また、芝1800mの2走前で追走に忙しさを見せ、前走ではかなり掛かっていたことからも、おおよそ芝2500mくらいがベストとみる。
加えて有馬記念は過去10年の勝ち馬の半数が3歳馬であるように、古馬と比較して斤量2kg減で出走できる3歳馬が強いレース。特に天皇賞(秋)や菊花賞に出走していた馬が活躍している。
古馬の一線級はジャパンCを大目標にしているのに対し、3歳馬は消耗度の少ないレースを経由していることで、ここで上手くピークに持って行くことができるという側面も好走に繋がっている。
今年は3歳馬が2頭出走するが、ミュージアムマイルよりも芝2500m適性が高く、1番枠とロスなく立ち回れる好枠を引いた本馬に期待したい。
※パワーポイント指数(PP指数)とは?
●新馬・未勝利の平均勝ちタイムを基準「0」とし、それより価値が高ければマイナスで表示
例)メイショウタバルの前走指数「-13」は、新馬・未勝利の平均勝ちタイムよりも1.3秒速い
《ライタープロフィール》
山崎エリカ
類い稀な勝負強さで「負けない女」の異名をとる競馬研究家。独自に開発したPP指数を武器にレース分析し、高配当ゲットを狙う! netkeiba.com等で執筆。好きな馬は、強さと脆さが同居している、メジロパーマーのような逃げ馬。
《関連記事》
・【有馬記念】複勝率100%で中山コースは相性抜群 好データにも該当で好勝負必至【動画あり】
・【有馬記念】過去10年のレースデータ
・【有馬記念】宝塚記念勝ち馬メイショウタバル、ダービー馬タスティエーラは消し ハイブリッド式消去法
