【中山金杯回顧】カラマティアノスが大敗を転機に初タイトル 成長力ある血統と鞍上の好判断が勝利呼び込む

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序盤で緩んでも流れに乗れたカラマティアノス
関東圏の競馬はじめ中山金杯はカラマティアノスが勝ち、重賞初制覇。2着アンゴラブラック、3着グランディアで決着した。
中山金杯が16頭を下回ったのは2017年以来9年ぶり。縁起物の金杯は例年出走登録数が多い印象だが、今年は14頭に落ち着いた。ハンデ戦であり、中距離路線の王道を歩むというより、その路線に乗るきっかけをつかみたい挑戦者たちがそろった一戦は前後半1000m1:00.5-59.8と平均的な流れで推移した。
先行勢がそれなりにそろった組み合わせだったが、隊列は乱れずに決まり、1、2コーナー付近は12.6-12.3。一気にペースが落ちるメリハリある流れはピースワンデュックに騎乗した柴田善臣騎手のベテランらしいペース配分が光った。
3コーナー手前でも12.6-12.5とひと腰入れる流れになっており、先行勢がポジション利をいかんなく発揮できた。
勝ったカラマティアノスは昨年皐月賞以降、ポジションを下げる競馬を続け、折り合い重視の姿勢を貫いた。転機は大敗を喫した前走のダート戦にあった。ある程度ポジションをとる競馬で新味をみせた。
この日もスタートから積極的に攻めの姿勢でポジション確保。1コーナー付近のペースダウンで行きたがる素振りをみせたものの、それでも好位をとりにいった。
折り合いを欠くかもしれないリスクを承知で前へ行き、なんとかカラマティアノスを納得させることに成功した。津村明秀騎手の判断と行きたがる騎乗馬をなだめる技術が光った。
2歳王者カヴァレリッツオと似た血統構成
カラマティアノスはGⅠこそ大敗を喫したものの、大事に乗った京成杯AHでも着差は0.5差と小差。久々のマイル戦だったことを踏まえても、重賞通用の力を示していた。ダート戦大敗も相まって人気を落としていたが、芝中距離なら重賞レベルの能力がある。
勝負所手前でしっかり脚を溜めていただけに、ラスト600m11.7-11.3-11.7では抜群の手応えで乗り切った。4コーナーで加速していく走りなどイメージ以上に小回り適性もある。
最後は急坂を上がって脚が鈍ったところをみると、ベストは1800mだろうか。今回のメンバーより上の馬たちを相手に正攻法で2000mを押し切るには、もうひとつ成長が必要だ。
父レイデオロはダービー馬であり、晩成とは思えない戦歴だったが、産駒は総じて晩成型が多い。実際、産駒は3歳夏以降に勝率がグンと上昇する。
ましてカラマティアノスの母の父は晩成の代表格ハーツクライ。母の母バラダセールの一族はサトノフラッグ、サトノレイナスに加え、朝日杯FSを制したカヴァレリッツォも輩出するクラシック向きの血統だが、成長力も感じる。
カヴァレリッツォの母はカラマティアノスの母ダンサールのひとつ下の妹。父は同じくハーツクライなので、同血だ。カヴァレリッツォの父サートゥルナーリアはカラマティアノスの父と同じキングカメハメハの系統。2頭の血統構成は非常に近い。
カラマティアノスはギリギリだったが、2000mの重賞を制したのは、カヴァレリッツオの皐月賞挑戦の背中を押す。
好調目立ったグランディア
2着アンゴラブラックは上がり2位の末脚を繰り出すも、ハナ差及ばなかった。ゴール板での脚色は勝ち馬を上回っており、勝負は序盤の位置取りの差だけ。もう少し流れが速くなるという読みもあったか、少しだけ位置を下げて流れに乗ったことがアダとなってしまった。
内枠だったため、外の先行型の動きに合わせながらポジションをとった結果だろう。後半はカラマティアノスの背後から抜け出したスペースを狙っていた分、スパートも若干遅れた印象もある。
3着は7歳セン馬のグランディア。前走ディセンバーS2着と復調気配だったうえに、小回り2000mという舞台もマッチした。ポジションはアンゴラブラックよりさらに後ろであり、勝負圏内は難しい状況だったが、直線はよく伸びた。
外から目立つ脚をみせたのはこの馬だけであり、目下の好調具合がみてとれる。もう少し全体的に時計がかかる馬場なら前進がありそうだ。

《ライタープロフィール》
勝木 淳
競馬を主戦場とする文筆家。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュースオーサーを務める。『サラブレッド大辞典』(カンゼン)に寄稿。
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